文芸誌『異界觀相』
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文芸誌『異界觀相』。 異界を觀相し、そのあわいに佇むこと。 仕様 A5・162ページ 著者 伊東黒雲/柊正午/灰谷魚/藤井佯/葦田不見/多賀盛剛/アルドラ/懶い河獺/大槻龍之亮 発行 造鳩會 編集 藤井佯/伊東黒雲 エディトリアルデザイン 亜脩 イラスト/扉 airi maeyama 印刷所 有限会社 国宗 e-mail zoqkai.editorial@gmail.com Twitter @zo_Q_kai
収録作品
【小説】 伊東黒雲「子午線の結び目」 ある日、不眠を拗らせていたPの眼は、自分の身体から零れ落ちてしまう。残されたPの身体は勝手に動き始め…… 「Pは眼前に転がった自身の、本来右眼が収まっている筈の場所にぽっかりと穴が空いているのを見た。」 柊正午「白瀬矗の講演」 白瀬矗。日本の陸軍軍人、南極探検家。 南緯九◯度到達へ向け突進する南極探検隊。極寒の地にて彼らが目にしたものとは。 これは、明治四六年一◯月に実施された白瀬矗による講演の、速記録を一部抜粋したものである。 灰谷魚「ときめく夢だけ捨てました」 五輪開催年に必ず死者を出してきた事故物件。2021年夏、元・小説家志望の野村ユマと現・漫画家志望の宇井芽衣は、そこでルームシェアを開始した。 「ところで、この物語の中で二人の人間が死亡する。そのうちの一人が野村ユマだ。」 藤井佯 「托卵」 存在しない街。いないはずの隣人。「書記」を名乗る女を招き入れたことで、伊地知の平穏は崩されていく。いや、本当はとっくの前から崩れ去っていたのだ。 「わたしは、月に行かなければならない。君を連れて」 【詩】 葦田不見「眼にて黙す」 眼を巡る声が聞こえるか? わたしと同じように、あなたと同じように、 「はい、その用というのはわたくしの眼をあげましょう、という話なのです」 【短歌】 多賀盛剛 「prism genesis」 乱反射した光が互いに干渉しあい、互いにサンプリングしあい、増殖してゆく——縫い目を持たない羽衣のように紡がれた16首からなる連作。 「げんじつの、びでおでみてた、ほんまのかおの、ほんまのかいわ、」 【日記】 アルドラ「統失日記」 統合失調症を発症した筆者の、当時の日記やメモ帳、ツイート等をもとにした、三ヶ月の生活の記録。 「(前略)統合失調症の急性期はどのような経過をたどるのか、それを患者本人はどのように理解しているのか、以上の二点に重点を置き、その様子を描写したい。」 【論考】 懶い河獺「落下するレオロジー 山中散生の詩的原理」 山中散生という人物がいる。シュルレアリスムを日本に紹介した主要人物であるにもかかわらず、彼の詩について言及する文献は決して多くない。山中散生の詩作の原理を、二つの軸のもとで昇華し、一筋の光を投げかける論考。 大槻龍之亮「わからなさの只中へ突き進んでいくこと、おれはそれを詩だと思っている」 滝沢カレン、小島信夫、吉増剛造、そしてヘレン・ケラー。詩とは一体何なのか。わからなさの彼方へ向かう果てしない旅。 「ある日わからなくなった。」 【イラスト/扉】 airi maeyama 【デザイン】 亜脩